先日ある方から呼ばれ、[この壁にこの様な耐震補強金物を取り付けて欲しいのでお願いしたい]との依頼がありました。この金物は特許を取っているものなので安心なのだそうです。
しかし、国が示している木造住宅の耐震補強の考え方は、以下であることをよく説明して帰ってきました。
(1)丈夫な基礎にすること
(2)柱を基礎と緊結すること
(3)壁を耐力壁にすること
(4)屋根を軽くすること
(5)防腐・防蟻処理をすること
(6)家全体のバランスを良くすること
住宅に幾つもある窓の1箇所か2箇所を鉄骨で強烈に強くしても安心をしていられるとは思えなかったからです。私はその金物を宣伝している方に工事を依頼したらどうかと勧めましたら、基準の寸法が違うので出来ないのだそうです。
耐震補強の考え方は、“これさえやれば大丈夫”なんていうウルトラCはありません。ホールダウン金物で緊結して、筋かい又は構造用合板で耐力壁を作り、カスガイ釘や補助金物を取り付け、雨漏れや漏水に気を付け、なるべく屋根を軽くすることが大事なのです。地震で大きく揺れたとき、逃げるための時間を少しでも長く確保出来るようにするのが耐震補強です。特許を取った金物でも命の保証は付いておりません。