木材の保護について 砥の粉
昔ながらの趣のある日本家屋でも、またここ数十年前に建てられた家の和室でも、何かまだらに白く粉をふいた様な感じの柱や廻り縁を見かけます。桧や杉の無垢材が薄汚れた感じでとてもイメージを悪くしています。住まわれている方達はこんなもんだと思っている様で気にしていません。
実はこの薄汚れた白い粉は砥の粉という物で、正体は土です。奇麗に削られた柱や敷居・木枠は、人の手油が付くと数年後酸化して手の形として黒く浮き上がってきます。折角の木肌が台無しになってしまうのです。その様な事にならないように、奇麗に削った段階で砥の粉という土を塗って表面を保護しておきます。建物が完成する前に水拭きをして奇麗な木肌を取り戻して引き渡しをするものなのです。
ところが何の理由か水拭きをしないで引き渡されたのです。ちなみに濡れ雑巾で柱を磨いてみせると、こんな奇麗な柱だったのかと驚かれる方が殆どです。本来の和室のしっとりとした雰囲気に初めて戻るのです。桧や杉の無垢材は芯から樹脂が染み出してきて、しっとりとした薄い飴色に変わってきているのです。気になる方は濡れた雑巾で柱を拭いてみてください。木材の本来の木肌が蘇るかも知れません。