お出入りの復活

建築に携わる者として何より欲しいのが出入りを許された家の数だと思っています。一昔前まではある程度の家には必ずお出入りが許される人が決まっていました。鳶・大工に始まり、畳・左官・植木職、また米屋・酒屋・肉屋・魚屋と生活に関わる全てに、お出入りが決まっていました。

最近は経済の効率化や後継者の問題等でめっきり少なくなりました。見掛けの金額だけを売り物にチラ紙やセールスで出入り業者を排除してしまった結果、本当に困った時に誰に相談したらいいか分からなくなってしまっている人が沢山います。業者の方も一旦他の業者が出入りすると、何となく顔を出しにくくなり縁が切れてしまうのです。もう一度考え直してみませんか、一回限りの付き合いでなく、近くで何時も見守っているお出入りの仕組み。家の中、生活の中に入る仕事です、一家に一台は車ですが、一家に一人は本当に親身になって家や家族の事を考えてくれる、出入りを持つべきだと思います。

高齢化が進み、家族が少なくなってしまい事件や事故が多くなっています。住宅を車や家電製品と同じ工業製品として扱い始めて無くしてしまった“お出入り”を復活して頂きたいと考えております。